SOUの言語聴覚士による言語訓練について
1.モットーは「たのしい訓練」
私(與儀)は、「たのしい訓練」をモットーに、子どもたちへの支援(療育)を行っています。私がいる事業所では、「言語訓練やりたくない」という言葉はほとんど聞かれません。むしろ、
・「今日のことばのお勉強、何時から?」
・「早くことばの訓練やりたい!」
と、子どもたちは楽しみにして笑顔で来てくれています。
子どもの「やりたい!」を大切に
意欲(やる気)がなければ、新しいことばを覚えるのは難しいものです。いやいや覚えさせようとしても、その子の成長にはつながりにくいです。
「できた!」という小さな成功体験を重ねることで、子どもたちのやる気を引き出すよう支援しています。
「ことば」の成長は見えにくい
自分の手や足は目で見ることができますし、上手に工作を作ったり、ジャンプができるようになったりすると、子ども自身も「できた!」と感じやすく、大人も一緒に喜ぶことができます。ですが、「ことば」は目に見えません。そのため、子ども自身が「できた!」と感じにくく、大人が子どもの成長ポイントを見逃してしまうこともあるのです。
そこで、子どものことばの成長のサインを大人が見逃さずにほめてあげることで、子どもはうれしい気持ちになり、「自分でことばを使ってみよう」という意欲がわいてきます。将来、大人になったときに必要な「コミュニケーション力」や「社会性」を育てるために、まずは小さいうちから「ことば」に意識を向ける力を育んでいきたいと思っています。
2.どんな子が言語訓練を受けるの?
- 発音が気になる子
- 耳が聞こえない・聞こえにくい子
- うまく話せず“どもって”しまう子
- 家では話せるのに、外では話せない子(選択性緘黙など)
- 発語が少ない子
- うまく文章にまとめられず、相手に気持ちが伝えられない子
- 語彙力が低い子
などが対象となります。
3.具体的にどんな訓練をするの?
発音の訓練
最初に「間違った発音になる原因」や「筋肉のこわばり(筋緊張)」などを評価・分析します。
そして、筋肉に力が入りすぎる子には、力を抜く練習を伝えてサポートし、ボディイメージ(体の動かし方や位置の感覚)が弱い子には、鏡を見ながら口の動きをイメージしてもらい、正しい発音を目指します。
語彙力(ことばの数)が少ない子への訓練
検査を行い、名詞・動詞・形容詞…など、どの分野のことばが苦手なのかを分析します。
文字や絵、ジェスチャー、オノマトペ(例:ワンワン、ニャーニャー)等子どもが覚えやすい方法を見つけていきます。
このような方法で「子どもがことばを理解して、思い出しやすくなるよう」にサポートするのが言語聴覚士の役割です!
4.言語訓練の効果や検査のメリット
「言語訓練って本当に効果があるの?」と思う方もいるかもしれません。
実際、訓練を始める前と半年後を比べると、半年以上の語彙力アップが見られたお子さんもいます。
カ行がタ行になってしまうお子さんでは、初回の訓練で正しく言えるようになる場合もあります。
もちろん、検査結果だけですべてがわかるわけではありませんが、
- 客観的に子どもの発達をとらえられる
- 子どもの得意・苦手のバランスを見て、周囲の大人が理解しやすくなる
というメリットがあります。定期的に検査をして、保護者の皆さまと一緒にお子さんの成長を共有しています。
5.土台作りの重要性(感覚統合について)
「早くことばが上手になってほしい!」という保護者の方は多いと思います。もちろん、ことばを伸ばすことはとても大事です。ですが、その前に大切なのは、身体や感覚の土台づくりです。これを「感覚統合」といいます。
感覚統合ピラミッド

一番下の土台に「視覚、前庭覚、固有覚、触覚、聴覚」などの感覚があります。
その上に、「大きな動き(粗大運動)」「指先の動き(微細運動)」「認知面(注意力など)」が積み重なります。
そしてその上に、言語面や社会性が伸びていきます。
もし感覚や運動の土台が不安定だと、その上にある学習面やコミュニケーション面も崩れてしまいやすいのです。
SOU FIRSTならではのカリキュラム
・感覚遊び :感覚が感じにくい子や、敏感すぎる子の感覚を整える
・スポーツカリキュラム :トランポリンや平均台で全身の動きをサポート
・指先課題 :お箸や紐通しなど、手先の器用さを鍛える
これらを専門の理学療法士が中心となって提供し、しっかりと身体や感覚の土台を育てつつ、言語訓練を組み合わせることで、総合的にお子さんの発達をサポートしています。
6.よくあるご質問
Q:言語訓練はどれぐらいの頻度で受けられますか?
A:事業所によって違いますが、多いところでは週に1回の言語訓練を受けられます。
Q:言語訓練を受けるときは、ほかのカリキュラムを受けられないのですか?
A:事業所によって違いますが、多いところでは週に1回の言語訓練を受けられます。
Q:子どもにどう声をかけたらいいのか分からず、恥ずかしいのですが…
A:そのお気持ち、よくわかります。私自身、最初は子どもへの声かけに戸惑いました。恥ずかしいことでは全然ありません。子育てはみんな手探りです。わからないときは遠慮なく、言語聴覚士やほかのスタッフに声をかけてください。
Q:家でもできることはありますか?
A:とても嬉しいご質問です。保護者の方がご自宅でも関わってくださると、子どもの伸びが違います。お子さんに合わせた具体的な声かけや遊びのアイディアを、その都度お伝えしますね。
7.さいごに
株式会社LIFE DESIGNに所属している言語聴覚士の一人が、インスタグラムで保護者向け情報を発信しています。
アカウント名は「ななみ ことばの先生」 です。
ことばの豆知識や声かけのコツなど、日々の子育てに役立つ情報を投稿していますので、ぜひ覗いてみてくださいね。
お子さんのことばやコミュニケーションの力を育むためには、「楽しさ」と「土台づくり」がとても大切です。
お子さん一人ひとりの特性に合わせて、「できた!」を重ねながら、未来につながる力を一緒に育んでいきましょう。
何か気になることや相談したいことがありましたら、いつでもお気軽にお声がけください。
【與儀七海 経歴】
県内の医療・福祉関係の学校(おもと会沖縄リハビリテーション福祉学院言語聴覚学科)を3年通い、『言語聴覚士』の国家資格を取得する。
卒業後は、小児地域分野で先輩方から専門的知識を学ぶ。経験を積み教育者の立場としてしばらく働いた後に、理想の言語聴覚士像を目指すために独り立ちし株式会社LIFE DESIGNに入社。