お友達の輪に入れない・ゲームで負けると怒る子が激変?宜野湾市の放デイが実践する「SOU!プレイ」とは
「UNOする人ー!」――かつて一人で黙々とドミノを並べていたCさんの口から、お友達を誘う明るい声掛けが事業所に響きます。

沖縄県宜野湾市志真志にある放課後等デイサービス SOU NEXT ジュニア志真志では、普段の遊びを通した独自のSST(ソーシャルスキルトレーニング:社会で人と関わるためのスキルを身につける練習)を行っています。
この記事では、学校やお友達同士の関わりで「お友達の輪にうまく入れない」「ゲームで負けると怒ってしまう」とお悩みの保護者様に向けて、従来のロールプレイでは難しかった日常生活への汎化(はんか:学んだスキルを普段の生活でも応用して使えるようになること)を可能にするプログラム「SOU!プレイ」の魅力と、子どもたちの心の変化についてご紹介します。
ご家庭でもできる!「失敗を宝物に変える」声かけ
子どもがゲームで負けて泣いてしまったり、失敗して落ち込んだりしたとき、ご家庭でできる具体的な工夫を1つご紹介します。
ぜひ、お出かけ先やご家庭でお子様が何かを失敗してしまった瞬間に、「失敗しても大丈夫!ナイスチャレンジ!」と、結果ではなく「挑戦したこと」そのものに焦点を当てて言葉をかけてみてください。
「ちゃんとやりなさい」「次から気をつけて」と失敗を指摘するよりも、「挑戦できたこと自体が素晴らしい」と大人が笑顔で認めてあげることで、子どもは失敗を恐れなくなります。この温かい関わりの積み重ねが、「次もやってみよう」という自己決定(じこけってい:自分で考えて行動を決める力)を育み、他者へ優しい声をかけられる豊かな心を育てていきます。
ドミノを並べるだけだったCさんが、お友達を誘えるようになるまで
入所当初、他のお友達と遊ぶことがほとんどなく、プレイルームの隅で一人黙々と、ドミノを並べる一人遊びが中心だったCさん。放課後等デイサービス SOU NEXT ジュニア志真志(宜野湾市志真志)に通い始め、週に1回の『SOU!プレイ』プログラムを受け始めてから約1年が経過しました。
最初の3ヶ月は、手を挙げることに戸惑いを見せたり、周りを観察しながら動くことがほとんどでした。ですが半年ほどすると恥ずかしながらも手を挙げて発表し、周りからの賞賛の拍手で笑顔が見られ始めました。
今では、4〜5人のグループの中心で冗談を言い合って笑ったり、自発的な発言や行動でプレイルーム全体の雰囲気を盛り上げてくれたりと、見違えるような成長を見せてくれています。「挑戦」や「失敗」へのハードルが下がったことで、自分から進んで「UNOする人ー!」と他の児童を遊びに誘うことができるようになりました。

普段の遊びをそのまま課題に!「SOU!プレイ」とは
放課後等デイサービス SOU NEXT ジュニア志真志(宜野湾市志真志)のプレイルームでは、週に1回、独自のSST課題として「SOU!プレイ」を実施しています。
従来のSSTは、あらかじめ「お友達と意見が合わなかったらどうする?」といったテーマを設定して練習する、台本に沿ったロールプレイが主流でした。しかし、それでは定型的なマニュアルになってしまい、実際の日常で少しでも想定外のことが起こると、身につけたはずのスキルが途端に効力を失ってしまうという欠点(汎化の難しさ)がありました。
そこで当事業所では、児童たちが普段から遊んでいるポケモンカードゲーム(ポケカ)やテレビゲーム, ボードゲームをそのままプログラムに活用しています。「お友達と意見が合わなかったら」を頭で考えて疑似的な環境を用意するのではなく、実際に普段遊んでいるゲームの中で、リアルに起こりうる「お友達と意見が合わなかったら」を作り出すのです。これにより、児童は初めてSSTの例題を深く理解し、「自分事」として体得することができます。

この「SOU!プレイ」には、子どもたちの成長を促す2つの重要な発達的アプローチが組み込まれています。
1. スキルの「汎化(はんか:練習した環境だけでなく、学校や家庭など異なる場面でも同じようにスキルを発揮できること)」
作り込まれた構造化(こうぞうか:時間や空間、活動のルールを視覚的・直感的に分かりやすく整理し、見通しを持たせる工夫)されたSSTではなく、普段の遊びに限りなく近い環境で実践するため、学校や学童、ご自宅といった日常生活へのスムーズな応用が可能になります。ゲームの中で「悔しい」「譲りたいけれど譲れない」という本物の感情を動かしながら体験するため、深く心に刻まれます。
2. 自己制御(じこせいぎょ:怒りや悔しさなどの衝動的な感情を一度立ち止まって抑え、その場に適した行動を自分で選ぶ力)
例えば、お友達にゲームで負けて下を向いて話すことができなかったDくんが、今では「悔しいけど、いい勝負だったありがとう!」と切り替えてコミュニケーションを取る術を学び、ゲームを続けられるようになりました。遊びに夢中な状態から、いったん自分の感情を切り替える。これは、スタッフによる「この課題は勝ち負けではなくコミュニケーションを学ぶ場」という声掛けと、失敗と学びを繰り返したからこそ育った自己制御の姿です。
さらにゲームの最後には、ワークシートを使った振り返りを行います。自分がうまくできなかったことだけでなく、「お友達のこの発言が良かったな」という他児の長所、そして「次回からどう行動するか」を各自で整理してまとめています。ただ勝敗を楽しむだけでなく、「自分の感情をコントロールして相手を思いやる」という力を、遊びを通じて自発的に学んでいます。
安全のための取り組み:思いきり挑戦できる安心感を守る
「ゲーム中に熱くなって、トラブルが大きくなったらどうしよう」と不安に思われる保護者の方もいらっしゃるかもしれません。放課後等デイサービス SOU NEXT ジュニア志真志(宜野湾市志真志)では、子どもたちが安心して自己表現できるよう、万全の安全体制を敷いています。
活動を開始する前には必ず、全員で「お友達が嫌がる言葉は使わない」「みんなが楽しい遊び方をする」といった2〜3個のシンプルなルールを視覚的なボードで確認しています。また、プレイルーム内では常にスタッフ3〜4名が、ゲームエリア、見守りスペース、水分補給エリアに分かれて常時配置されており、子どもたち一人ひとりの表情の変化や感情の起伏を15分ごとに細かくチェックしています。
さらに、ゲーム中にどうしても熱くなってしまい、クールダウンが必要な状況になった場合でも、周囲の目を気にせず静かに心を落ち着かせることができる専用の静養室を完備しています。安全かつプライバシーに配慮した環境があるからこそ、子どもたちは失敗を恐れず、安心して「お友達と関わる練習」に挑戦できるのです。
「うまくいかなくても大丈夫。ジュニア志真志は練習の場」
私たちは、10回失敗しても、10回前を向いてチャレンジしたその姿勢自体を全力で称える環境づくりを徹底しています。課題中も、スタッフの関わり方を真似て、児童同士の間で「失敗してもいいんだよ」「ナイスチャレンジ!」とチャレンジを後押ししてくれる優しい言葉が自然と響き合っています。
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